2013年05月15日

不適正な方法



前回の続きです。このシリーズはこちらで最後になります。



最後に不適正な処分方法について考えられる、いくつかの方法をご紹介いたします。





最初に断っておきますが、これはあくまで考えられる方法です。この方法が行われているか否かは関知いたしません。こういった方法もあるのだと、ご理解いただければ幸いです。





@業種のすり替え

事業系廃棄物には一般廃棄物というものがあり、事業系一般廃棄物の処分について、市町村に処分する義務はないが、民間業者に一般廃棄物処理業の許可を与え、処分場への搬入を有料で認めている。

その一般廃棄物処理業許可業者が、一般廃棄物の中へ産業廃棄物を混入させ、市町村の運営する焼却施設に持込む行為。民間に比べると市町村の焼却施設の処分費用は安価なため、その差額で利益を得る。





A飛ばし型

書面上は、(処理委託契約やマニフェスト)適正に行われているように見えるが、実際には契約通りの処分を行わず、排出事業者から受託後、他の施設に直送若しくは保管後に再委託する行為。受託側においては全く手を施さないので、その分のコストが削減でき、伝票操作だけで利益が見込める。





B過剰保管型

中間処理施設で行われる。受託した廃棄物の全量処分を行わず、施設内で保管する行為。受託料金は排出事業者から回収済みのため、帳簿上の利益は確保できている様に見える。

かし、実際は棚卸で計上されていない場合も多く、更なる利益確保のため、保管量は徐々に増加する傾向にある。保管した廃異物を処分する原資もないため、放置されたままのことが多い。





C罪逃げ型

過剰保管型の最終形。廃棄物を受託し、殆ど処分をせずに限界まで保管し、その後逃亡や会社を破綻させる行為。

受託量に見合う二次排出をしないため、キャッシュフローはプラスとなる。同時に廃棄物管理票の運用も行うが、実際の処分作業を行っていないため、虚偽の記載となりうる。





D流出型

処理費が安価で契約先にない処分場へ委託する行為。特にリサイクル施設は、処分業の許可をもたないこともあり、カバーできる品目の範囲は広い。

現場を押さえない限り、不法行為を書類上で見破ることは困難である。売買契約を偽装する場合もあり、不法投棄の疑いも濃厚である。





E過剰処分型

産業廃棄物処分業の許可には埋立容量や設備の処理能力が定められており、その許可量以上の受託を行うことにより、受託収入を得る方法。

施設のキャパシティに比べ売上が多い場合、その理由説明を求めた方が無難である。





F偽装有価

処分後の廃棄物を、商品や製品として市場価値がある様に見せかける行為。

現実には販売されていないか、受託量に対し販売量は少量であるか若しくは、自社関連会社や他の会社等に販売する形をとり、伝票上の操作だけで販売偽装する場合もある。

現物は、自社私有地に保管されるか、協力者が自社製品と混入させ販売する場合もある。これには、複数社間の協力が必要となる。





G渡り

契約している処分施設を短期間で変更する行為。変更する理由は処分単価であり、少しでも安価で処分出来る施設を日々模索している。


目先だけの利益を優先するため、少しでも安価な処分先が見つかると、処分先を安易に変更する。

お互いの信頼関係構築が図りづらく、最終的に処分先との連携もとれなくなり、最悪の場合何処にも相談できず孤立した存在となる。





H水増し

廃棄物の処理単位には容積や重量があるが、実際の量より多く受託したように偽装する行為。

容積の場合は、廃棄物管理票と伝票に水増しした数量を記入する。重量の場合は、計量時に発行される伝票を操作し重量を水増しする。

見せかけの処理単価は安いが、数量の水増しによる金額で請求される。確認を怠り、業者に任せきりの場合、被害に遭うケースが多い。





I過少申告

水増しと全く逆の現象で、有価物引取の際、計量重量や容積を過少申告し、買取りの支払金額を減少させる行為。

買取った有価物を転売する際、その差で大きな利益を上げることができる。

また、この場合、見積り提示単価を他社より高く見せかけることができるため、他社より競争力が強くなる。





J容器の偽装

実際の申告より、運搬容器の容積を小さくし利益を上げる行為。表面上の単価は安価に思えるが、実際は安くない。

行為自体は水増し行為と類似しているが、運搬容器そのもので偽装させているため、容器自体の寸法を測らない限り発覚しない。伝票上で不正を見破ることは困難である。





K架空処分

廃棄物管理票の運用と処理委託契約書の締結を行うが、実際の廃棄物の受入と処分は行わない。伝票上の操作だけで受託利益を上げる行為。

廃棄物帳簿上の記載もあり、二次排出時の紐付けも巧妙に行われる。しかし、売上帳簿上からは除外されているため、脱税行為にあたる可能性あり。





以上となります。



最終的な責任は、実地確認を行う排出事業者です。こういった方法があるのだと知っているだけでも、実地確認を行う際の視点が違ってくると思います。



他の不適正な行為はまだまだあると考えられますが、以上で終わりにしておきます。













posted by ヨッシー at 13:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 不適正処分の利益構造

2013年05月10日

業界の損失



前回前々回の続きです。



私はその様な事例を何度か見てきました。





安価な処分費で、不適正な処理方法が行われる可能性が高まり、そこには業者独自の方法や利益を確保する手段があります。





ここで私が申し上げたいのは、排出事業者として、その内容を理解することもリスク回避のため重要だと考えます。





内容を理解することにより、事故発生の予防や不良業者の市場からの撤退となり、その結果、優良業者を育てるに繋がるのではないでしょうか。





川の水が上流から下流へ流れる如く、廃棄物処分も処分費の高い方から低い方へ流れて行きます。受託収入内で廃棄物が処分されなければなりません。事業が営利目的である以上当然です。





しかし、受託収入が原価割れを起こした場合は、どうしても事業が継続できるように採算を合わせるしかありません。





それでは事故に遭遇するリスクが高まるばかりです。





更に別の角度から見れば、一部の粗悪な業者が市場に参入するため、適正に処分を行う信頼性の高い優良な業者の存亡が危うくなり、新しい技術開発やリサイクル材の供給を断たれ、業界の構造にマイナス影響を与えることも考えられます。





業界の資産や財産が棄損することにも成りかねません。





経済連鎖の中で企業活動は営まれます。その経済連鎖が断ち切られることにより、自社における適正な廃棄物処理の選択肢が少なくなり、最悪の場合、条件に見合う処分業者が無くなってしまう可能性も十分に考えられます。





自社において適正な処分ができなくなる危機に遭遇するかも知れないのです。





全てにおいて想像力を働かせ考える視野も必要です。細部で適切であっても、全体では不適切になることは多々あります。





遊牧民の様に複数の業者を渡り歩き、価格だけを追い求めるだけでなく、特に排出事業者の方々には、この構造に着目して頂ければと思います。





大多数の業者は適正な処理を行っています。しかし、一部の業者の違法行為で、業界全体のイメージダウンに繋がっているのも事実です。





安価な受託金額で利益を確保するには、幾つかの方法があります。





考えられるその方法とは?




次回へ続きます。





posted by ヨッシー at 10:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 不適正処分の利益構造

2013年05月06日

適正価格とは?



前回の続きです。


廃棄物を処分する業界は、法律と規制の範囲でしか業務を行うことができません。言い方を変えれば法律と規制の範囲内であれば、業務を行えます。




ビジネスチャンスと捉え異業種からの参入もあります。すると業を行うものが増えます。




供給(業者)が少なければ価格(処分費)は高くなります。しかし、供給(業者の参入)が増えるにつれ価格(処分費)も安くなっていきます。そこには需要と供給の原理が働きます。




市場は需要と供給のバランスがとれたところで、価格と取引量が決定されていきます。




業界から撤退する業者が多ければ価格は以前の状態に戻せるのでしょう。残念ながら、皆が自分達の利益を考えるため、消耗戦になっています。結果として、現状が最適価格になっているのかも知れません。




低価格商品は安さが魅力となり、その安さに価値を見出します。その反面、品質と耐久性が劣ることを覚悟します。




高価格商品はその逆で、高価格商品を所有する自分にステイタスを感じると同時に、長期使用に耐えうるものだと思い購入します。




廃棄物処分費は如何でしょう?




廃棄物処分費は安ければ安い程価値が高く、処分費が高ければ高い程、価値を低くみられる傾向にあります。




処分費の安さが指標となってしまうのです。




一般的に廃棄物処分費は、環境負荷を低減しリサイクルを行う適正な処分であれば、原価も高くなる代わりに、品質(安全で適正な処分)も安定しています。




排出事業者側にとって発生した廃棄物は商品や原料でなく、棚卸資産としてプラス計上できるものではありません。一部を除き無価値のものでありますので、経営を考えれば少しでも安い処分費の業者を選択する傾向にあります。




中には、「処分費を安くします」だけがセールポイントの業者がいることも事実です。




このような現象を商品価値として考えるならば、安価なものを購入することで、安物であるという前提で品質の低下を容認している訳でありますから、不適正な処理が行われる可能性があることも承知していなければなりません。




そこには安物の使い捨て商品と同じく、早期の劣化を覚悟するのです。




しかし、排出事業者側はその様な考え方を全くせず、委託側の優先的立場を利用し、「リサイクルは絶対的、そして安価で適正にかつ安全に処分を行え」と、要求をします。




対価に見合わない、矛盾する要求を平然と突きつけます。




委託側は、「その安い処分費で如何にして、リサイクルを行い、適正でかつ安全な処分が行なえるのか」に思考が及ばず、更に受託側においては、「この処分費では厳しいな」と思いつつ、受託してしまいます。他者の参入を拒もうとするから尚更です。




この矛盾を考えなければいけないのに、両者がそこに生じた矛盾点を考えないようにしているとしか思えないのです。





果たしてその結果は?




そこにはお互いの妥協と想像力欠如が招いた、大きなペナルティが待ち受けている可能性があります。




処分業者の経営破たんによるものであれば、未処理の廃棄物に対し排出事業者責任として他社へ委託する必要が生じ、二重の廃棄費用が発生する恐れがあります。




また、時を経て、業者側の不適正な処理による法令違反が発覚した場合、排出事業者責任として刑事罰や行政罰の執行は勿論、現状を回復させるための費用負担が発生するかもしれません。




安い処分料に魅力を感じたため、更にそれ以上の処分費を支払う。




そうなってから初めて、価格ありきで判断した愚かさに気付き後悔するのです。




(次回に続きます)






posted by ヨッシー at 09:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 不適正処分の利益構造

2013年05月01日

売上と利益の限界



売上はキャパシティにより決定される


廃棄物処理業界において、他同業者との価格競争に勝利するため安価な処分費で受託すると、やはりどこかで、その皺寄せがくることは否めません。




業者はそのことに対応すべく、限界利益を上げるため売上を増やすか、変動費や固定費を減らすかを選択します。




しかしこれらも絶対的に正しい方法ではなく、ある会計学では、そういった方法も個別の事例によって正しいかもしれないという判断をしています。




経営を維持するためそこには、安価に受託した価格の範囲で限界利益を確保するために、不適正な方法で処分を行わなければならない現実があるのです。




不適正な価格は、その価格に見合う結果が伴うのです。




現在の業界内は、多くの技術革新が進められ、処分方法は成熟しており、余程大きなイノベーションが起こらない限り、有意性の確保やコスト削減を行うには、おのずと限界が生じています。




そこで、生産性を高め、受託量を増やすという方向に進みたくなりますが、マンパワーに頼る所も大きく、大幅な生産性の向上は難しくなります。




また、許可業務であるため受託できる数量は、許可品目、許可量、設備の種類と規模、人員、稼働率、稼働日数などで決定され、それぞれ施設毎に制約されたキャパシティによって処理量は制限されます。




処分施設は全く制限なく、無尽蔵に設置することは出来ないのです。




何故ならば、住民感情や法令の範囲において、そこにはハードルの高い多くの問題が存在します。




同時に経済情勢による一因も加わるとこになると、自ずと処分業として売上金額の上限は決定されてしまいます。




適正な業務を行っている業者程この傾向は強く、許可量をオーバーしてまで受託することはキャパシティの問題と合わせ、法令違反となり出来ません。




また経済情勢により、顧客の要求や競合他社の攻勢などの、値下げせざるを得ない圧力があり、大きく限界利益を得ることも困難になってきています。




その様な情勢の中、もし簡単に値下げ要求に応じることができるのであれば、今まで余程の暴利を貪っていたか、限界利益を考えていないか、不適正な処理を行うかの、いずれかを考えることが自然だと考えます。




(次回に続きます)







posted by ヨッシー at 10:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 不適正処分の利益構造