2019年02月11日

自動車販売事業をやって経験したこと

残念だが、2月20日を以て自動車販売事業から撤退することになった。ここで私が自動車販売事業をやったことにより4つの怖さを学んだ。


後悔は未練が全くないとは言えないが、何故かしら今の気持ちはスッキリしているから不思議なものである。


この経験は何事にも代えがたいもので、経験という貴重な1ページを刻むことになった。それを書くことにする。


・赤字の怖さ

会社は利益があってこそ存続し、社会に価値を提供できる。いつまで経っても利益を確保できないとなると、それは市場からNOという答えを突き付けられている訳であるから、存在する意味はない。


それでも無理をして続けていると、取り返しのつかない事態になる。最低でも、自分や家族の生活まで脅かされるこのになることだけは避けないといけない。そうなる前にやめた方がマシで、諦めることも肝心である。


いざ撤退する時は、様々な雑音が耳に入るだろう。でも、世間体を気にしなくていい。自分は自分であるから、他人の意見など放っておけばいい。


「勿体ない」「もっとやればよかったのに」とさも心配したように装う言葉に気を付けるべきだ。他人の意見ほど無責任なものはなく、額面通り受け止めてはいけない。


所詮、他人は他人。相手がどのような状態に陥ろうと、自分の腹は痛まないのである。だから、無責任でいられる。優しい言葉だけなら何とでも言える。


そんな時はこう言ってやろう。「あと少しで成功しそうなのです」「私と一緒に夢を見ませんか?」「資金に困っています」「そこで、金銭的支援をお願いしたいのです」と。


それでもお金を出してくれるなら、それは本当に心配してくれているのである。しかし、そんな人はいない。近づくと自分の腹が痛むかもしれないから、いずれ距離を置かれるようになるだろう。


事業を行う上において「ダメだな」と考えるようになったら危険信号だと考え、潔く撤退することだ。自分が自分のことを一番理解している。潔く撤退することで、それが将来の利益に繋がる可能性があるからだ。


会社はキャッシュフローがあるうちは、赤字でもすぐ倒産しないが、赤字体質が固定化してしまうといつかは憂き目に遭う。


既に投下してしまった資金はサンクココストとして捉え、このまま事業を継続した場合に得られる利益と、撤退した後に投下できる資本から得られる利益を比較するのが合理的である。


・借金の怖さ

事業に投下する金額が多くなれば、自己資金だけで事業に必要な資金を賄うことができないため、金融機関から融資を受けることがある。だが、めでたく金融機関から融資を受けることが出来ても、返済しなければならない。


その返済の原資はどこらからでるのであろう。そう会社の利益からだ。


「赤字は怖い」に通じる問題だが、将来に渡り利益を出し続ける保証はどこにもない。赤字経営が続いた時、継続して借金返済ができるのか?赤字から黒字に転換する方法はあるのか?どのような戦略で立て直しを図るのか?などに頭を悩ませることになる。


こうした努力も虚しく会社のキャッシュが底を尽けば、会社の命は絶たれる。


ちなみに新規開店した飲食店が潰れるのも、キャッシュフローの行き詰まりによりものが多い。少なくとも、半年間は売り上げゼロでも持ちこたえるだけのキャッシュがあるのが理想である。


体力が落ちた会社に対する銀行の対応は冷たい。彼らは、貸付金が回収不能になる事態だけは避けたいので、リスクの大きいは選択しない。


ひとたび「この会社は危ないな」とレッテルを貼られれば、もう見向きもされない。


返済に行き詰まり、金利の高いところから借りると更に悲惨な目に遭う。金利分の利益を確保するのに、いくら売り得げなければならないか冷静に考えるべきである。


金融機関から借金をする予定がないならこの話は別であるが・・・。


・在庫の怖さ

商品在庫を持ち販売する事業の場合、販売するための商品を仕入れなければならない。豊富な品揃えも戦略として必要だろう。


なぜならば、購入希望者が店舗に来てお目当ての商品がなく、買いたくても買うものがないとなるとこれは販売機会ロスに繋がる。さらに、店の評判にも影響する。


かといって、売れ筋の商品だと思い選んび仕入れても、いつ売れるか分からない。注文販売もいいが、車両に瑕疵が発見されると苦情に繋がるリスクが高い。客の心理は微妙に変化するから読むのが難しい。


特に投下可能な資金に限りがあると、在庫を保有台数に限界が生じる。零細弱小企業がスケールメリットで勝負することはできず、潤沢に資金のある大手に勝てるはずもない。


そして、目算が外れ売れないと在庫として商品が残る。そうなと今度は、在庫を管理するコストが発生する。人件費、賃料、消耗品、水光熱費などがあり、さらには、日を追うごとに在庫商品の価値が棄損していく。


資産価値が目減りしてしまうと、当初予定していたプライスで販売できなくなる。こうなると在庫を現金化するため値下げして販売するしかなく、最終的に、二重三重のコストロスが発生することになる。


所謂、損切をする訳だ。これで会社は、確実に儲からなくなる。


・無知の怖さ

初めて行う事業であるから、知識のある人に任せなければならなかった。私の場合、自動車販売と住宅販売は絶対にやりたくない事業だった。しかし、誘いに身を任せ、ある人(コンサルタント?)を信じて自動車販売事業に参入してしまった。


私にとって、自動車販売に関しては何も分からない状態からのスタートだったが、私には事業に対する期待があったので、その人にいわれるがまま資金を投資した。どんどん口座からお金が出ていくが、しばらくは先行投資として諦めることにした。


しかし、いつまで経ってもお金が出ていくばかりで、少しも利益に繋がらない。今、冷静に考えてみると、これは当たり前だった。


出店した地域に自動車販売業は沢山ある。あり過ぎるくらいだ。大手も数社あり、新規参入の零細弱小企業に勝ち目のない市場だったのである。


大手との資本力の違いもあり商品力を強化して付加価値をつけることができず、結果的に差別化に繋げられなかった。付加価値を見い出しにくい事業を選択したのが敗因である。


そして、ここでは書けないが、その人を信用できない証拠が出てきた。事業半ばで事業継続すら怪しい雲行きになってきた。もちろん、人を信じなければ何事も始まらない。だが、信用できない証拠を突き付けられると事業を続けることはできない。結局、事業から退いてもらうことにした。


さらに、その頃に縁が出来た人たちとの付き合いも止め、距離を置くようにした。繋がりを持ったままだと、またどこかで負の要因が芽生えてしまうような気がして不安だったからである。


自動車販売事業に参入すると決断したのは、紛れもなくこの私。自分の判断ミスから派生した問題であり、自分の不甲斐なさと愚かさに猛省している。



しかし、人生悪いことばかりでない。この事業撤退の判断が功を奏し、プラスの要因が生まれることになる。


・時間が増えた

自動車販売事業は、自称コンサルタントのペースに従いながら進めており、自分のスケージュール管理が思うようにならなかった。


意味のない飲み会や人付き合い。計画性もなく突然指示される業務。自動車販売事業と全く関係ない人の縁。散らかった事務所の清掃と整理整頓など雑用も多く、時間配分が思うようにならなかった。そして、いよいよ本業に影響がでてくるようになった。


それらが彼に退いてもらってからというもの、全て一掃された。私の時間は自由になり、あんなに窮屈だった日々から一転、今は時間が増え、本業と新規事業に集中できている。時間に余裕があり考える時間が持てるのはありがたい。


日々の業務に忙殺され心配事が多いと、じっくり考える時間が持てない。そうなると、将来的にいい結果は生まれないと思う。やはり、じっくりと自分の頭で考える時間を持つことは必要だ。


・ストレスが無くなる

業務効率や利益を考えない相手と一緒に仕事をしていると、ストレスになる。特に大きかったのは事業資金の問題だった。


いつ投下が終了するとも知れない車の仕入れ代金と、それに付随する費用の心配は大きかった。予算オーバーしていても一向に仕入れが止まる気配がなく、先の見えない資金の投下は神経を消耗させた。


さらに、金銭トラブルと車が故障した時の対応や、営業活動だと称した食事会もあった。金銭トラブルは売掛金の回収方法に頭を悩ませ、車両トラブルは代車手配や今後の処置が私を煩わせる。


食事会はたいして親しくもない人と会い、お愛想笑いを浮かべながら、煙草の煙が漂う空気の悪い環境で夜遅くまで付き合わされるのは苦痛だった。


さすがにこれが頻繁に続くと、大きなストレスになる。


今回学習したのは、生活態度や習慣、金銭と時間感覚が全く合わない相手とは長続きしないことである。コミュニケーションを取り過ぎる相手のとの付き合いには疲弊してしまう。


今でも少々の残務整理はあるが、これら精神的苦痛が一挙になくなったのはなによりである。


・新たな事業へ投資できた

人、モノ、金、時間、情報の経営資源が確保でき、新たな事業へ投下することができた。勝算の高い事業に集中して投下することで収益を確保する。所謂、選択と集中である。


結果としてこれは私の判断はいまのところ正解であり、大きなダメージを受けた後なのでリスクは決して小さくはなかったが、ここで勇気を出してよかったなと思っている。


素晴らしい人に巡り合い、お互いの思いは同じで価値観も一致している。お互いに持つ経営資源を集約させ、SMALL M&Aという形で実現させた。


大きな市場で勝負するつもりはない。地域密着型の経営で十分に勝算はあるからだ。今の時代、事業拡大路線は大きなリスクになる。人口減少のフェーズに突入した時代に、マンパワーに頼るところの大きい事業は縮小を余儀なくされるだろうと考える。


小さな組織で利益を確保する。私にはこれで十分だ。



最後に

今回の自動車販売事業で感じたことは、どんなに努力してもダメな時はダメなのである。努力しても結果が伴わないことは多々あり、また、努力する方向を誤っていると、いつまで経っても報われない。


頭を使わないで、いつまでも執着していてはいけないのだと、身をもって体験できた。


事業を経営を共にするパートナーは、男女の関係に似ているのではないだろうか。


ある程度相手を理解し尊重しなければ長続きしない。束縛し過ぎてはいけない。干渉し過ぎてもいけない。無関心はいけない。信用し過ぎてもいけない。依存し過ぎてはいけない。自立ばかりもいけない。


しばらく付き合いを続けていると、相手のことが分かってくる。良いところも悪いところも見えてくる。どこかで齟齬が生じることもある。それでも良い部分が上回れば、長続きするだろう。しかし、どうしてもお互いに理解し合えないとなると、別れを考えなければならない。


別れは人生において日常茶飯事にあることだと割り切り、気持ちを楽にすればいい。生きているなら、人と別れなければならない日は必ず訪れるからである。


そこで自分が別れると決めたなら、キッパリ縁を切る。逆に相手から別れたいと切り出されたら、あっさり別れることである。


別れにより、お互いに新たな出会いのチャンスが訪れるからと割り切ろう。


いつまでもグダグダ言って、どんなに哀願しても離れた人の心は戻らない。そんなことをすれば怨恨を抱くだけになり、お互いにとって生産性が悪く、幸福感を味わえない。


自分が幸せでないのに相手を幸せにできるのかい?


確かに継続する努力は必要だが、時に潔く諦める勇気も必要である。泥沼に片足を踏み入れたなと感じたら、さっさと泥沼から足を抜くことだ。さもないと、深みにはまり取り返しのつかないことになる。


辛抱強さも大切だが、辛抱ばかりはお互いにとって不幸以外の何物でもない。一体誰のために生きているのか?と自問自答した時、おのずと答えが見えてくるのではないか。

posted by ヨッシー at 11:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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